業務標準化と言われてもいったい何をどのように進めて良いのでしょうか?
こういった相談をよくいただきます。そんなとき私は下記のような回答をしています。
業務を通して
1、メンバーが無意識に通るけもの道を見極め
2、舗装整備し
3、最終的に高速道路を作る。
1と2を効率良く回すことが大切です。まずサクッと作ってみて回してみる。ここから始めましょう。
標準化の価値=チーム全体の生産性向上
まず仕事における自分の価値とは何なのでしょうか。
作業が早いこと、コツコツ地道なこと、正確であること等々、いろいろあると思います。
例えばこれはいかがでしょうか。
“自分にしかできないこと“ どうです?しっくりきましたか?
長年コンサルに従事してきましたが“自分にしかできないこと“に対してご自身の価値を感じられている方が多いと感じています。
自分にしかできないことがある人は、重宝がられ、あなたのコピーをいっぱい作ってください(≒標準化)というオーダーがきます。
これが標準化の価値(=ニーズ)です。つまり標準化の価値とはチーム全体の生産性が向上させることなのです。
“標準化“を進める上での課題
ですが、標準化をすすめるためにはいろいろな課題があります。一つづつ見ていきましょう。
①能力の違い
自分にしかできない能力を分解しますと、自身が取り組む業務に対して課題を見つけ、原因を究明し、対策を講じ、クリアする。
これが経験値になります。この経験値を日々積み重ね得られることが自分にしかできないこと=暗黙知になります。
対して誰にでもできるようにする能力は、他者の取り組む業務に対してつまずきポイントを見つけ、自分や他者の暗黙知を形式知化し、効率化します。
課題→原因→対策→達成のフローは同じです。
ただし明確な違い一つあります。
それは、常に最適解(100%)を求めるか、均質化(60~80%)を求めるかの違いです。
ここに自分にしかできない能力(≒個別最適)と、誰でもできるようにする能力(≒標準化)の違いがあります。
②自覚の課題
こんなことみんな当たり前にやってるはず。と思い込み標準化すべき内容を見落としてしまっていることがあります。
(もしくはトリッキーな自分が好き。自慢はするが、自分しかできないことをみてニヤっとしてたりする。)
③がんばる方向を間違える
今までひとりで成果出してきたのに、今度はみんなの成果を出して欲しいと言われている。つまり能力と期待値の間にギャップが生じてしまします。
本人はなんとかギャップを埋めるべく、プレッシャー感じながらも膨大なナレッジを形作ろうとする(=頑張る方向を間違ってしまう)
④自分がやってきたことにしがみつく
自分しかできないことを標準化してしまったら自分の価値、自分の場所が失われてしまうのではないか?と不安になり手放さない人がいます。
今度は運用が回らない。
以上、様々な課題があり、なかなかうまく進まないと判断した会社はコンサル会社に委託するようになります。
もちろん彼らはプロですからきっちり”標準化”してくれると思います。そして成果物をきっちり納品してくれます。
ただこのやり方ではうまくいかない(ことが多い)です。いくら標準化できても今度は運用がまわりません。
これをカバーするために教育(というアドオンコスト)が膨らみます。
⑤コンサルさんの能力が違う
結局標準化することと、業務を回すことは能力がちがいます。
ではどうすれば良いか? “標準化“とは6割の人が通る道。
特別なことはなく、みんなが無意識に通るけもの道を見極め、整備し、舗装し、高速道路を作っていけば良いです。
効率良く回すことが大切です。まずサクッと作ってみて、回してみる。ここから始めましょう。
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